review

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0,あ,,,,,,,,ら,わ

J

james iha / let it come down

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artist:james iha  title:let it come down  label:virgin records
 元smashing pumpkinsのギタリストであるjames ihaが、smashing pumpkins活動中の98年にリリースしたソロアルバム。
 「smashing pumpkinsでの活動中」に対する反発なのか、轟音の片鱗は一切なく、優しすぎる曲でアルバムは満ちている。曲自身も人肌のぬくもりに例えられるような、オーガニックで気持ちの良いハーモニー、サスティンが全身を包んでくれます。
 本人自身、歌や声に自信があるわけではないらしいけど、このセンスはなんだろう。この素朴な暖かさ、切なさは簡単に日常に溶けて、ボクラが目に見てる風景や出来事を柔らかくしてくれる。全てがslow downして、綺麗になってしまう、表現しにくいけどそんな感じ。
 湯川潮音さんのライブにもゲストで出たことがあるとか。


 
jim o'rourke / Eureka

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artist:jim o'rourke   title:Eureka  label:Drag City
 ポップ、アバンギャルド、エクスペリメンタル、ポストロックだのシカゴ音響系だの、その一括りにできないスタイルはさまざまな言葉で形容され(自分が買ったときにはエレクトロニカにカテゴライズされていたなぁ)、ギタリスト、コンポーザー、プロデューサー、エンジニア、などその活動も多彩なjim o'rourkeの10th album(?、作品の数が多くてよくわからんし、アルバムっていって良いかわからん作品が多い)。
 今回はエクスペリメンタル性は薄れて、極めてポップ路線に走った作りとなっていて、あぁこっからhigh llamasとかstereolabとかsonic youthの音響系とつながっていくのかな〜と思わせる感じが。いろんな楽器と声とが交じり合っているのに全く重さを感じさせないし、bossaぽい音なんかもありで、寝る時も良し、素敵にゆっくりお茶するようなラウンジミュージックとしても聞けるので大変聞き勝手のよい(言い方が悪いような)旋律を奏でております。
 あぁそういえばくるりの名作2nd album『図鑑』にもプロデューサーとして参加してますね。GASTR DEL SOLも聞かなくちゃだなぁ。とにかくいろんなミュージシャンと親交が深く、その仕事っぷりも多すぎて自分の手におえる範疇からは飛び出しているのでこんな感じで許してください。
 全曲とも爽やかで捨て曲なし。特に表題曲「Eureka」は切なさの限界を超えてる。フカフカの毛布のように暖かすぎ。日常なんて、ドラマみたいな劇的なことは起こらないし、毎日は同じように過ぎていく。ただちょっとだけ実に微妙な変化が、部屋の隅の埃みたいに少しづつ積もっていくだけ。それが生きること。そんな風に思わせる音楽。


 
jim o'rourke / Insignificance

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artist:jim o'rourke  title:insignificance   label:Drag City
 Eurekaの次に出された作品で、前作との違いはというと、ギターが歪んでいる、女性コーラスが無い、スタイルがシンプル、音響系ながらよりポップでロックしている…てなとこ。
 海沿いの道を一人、自転車にのって駆け抜けるようなとても爽やかな印象。気持ち良くて、でも何処となく切なくて、泣き笑いしてしまいそうな感じ。
 音響系の音楽に対しては、そのイノセンスっぷりに嫉妬してしまう。たいしたこと無い様でいて、実に生活に密着している音楽だと思う。さっき言ったとおり、日常はテレビで見るほどドラマティックではなくて、単調で、退屈で、一日に大量生産される何かの缶詰の列の中身みたく大して変わり映えもないような(確かに幾つかの違いはあるのだけれど…!)…そう、タイトルどおりてんで無意味なモノだって自分は信じてる。その無意味さと退屈さにマッチして、そっと寄り添って安堵感を与えてくれる。日常の枠組みを(ある種の音楽みたいに)壊すことなく淡い色付けをしてくれるような音楽。自分も作れたらいいのに。
 にしても不穏な友沢ミミヨ画伯のジャケ(Eurekaも)。さすがデブ専漫画家。ある意味中身とマッチしています。
 jimは公開されたばかりの映画「school of rock」の音楽コンサルタントもしてたみたい。お気に入りはm-1,2,3,4,7。


 
jim o'rourke / I'M HAPPY, AND I'M SINGING, AND A 1,2,3,4

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artist:jim o'rourke  title:I'M HAPPY, AND I'M SINGING, AND A 1,2,3,4  label:mego
 Insignificanceに次いでリリースされたjim o'rourke初のコンピューターミュージックとなる恐らく12th album。
 今までのインストゥルメンタルでインプロヴァイズな感じからは完全に離れて、ラップトップコンピューターによる緻密に練られた電子音響の嵐。
 きっと自分らが宇宙に行ける時代が来たら、脳内が勝手に創造しだすバックグラウンドミュージックはこんなだろう。ポップな電子粒の流れとグリッチ音とノイズと深いアコーディオン。宇宙に対する自分らの抱く希望、未知への不安、不穏、虚無を反映している感じ。
 何はともあれ日本版のボーナストラックは要らない。流れを壊すよ。入れるんなら間に入れろ!お気にはm-2,3。まぁ全4曲なので。


 
john vanderslice / mass suicide occult figurines

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artist:john vanderslice  title:mass suicide occult figurines  label:barsuk records
 サンフランシスコのシンガーソングライター、j.v.の1st album。ちなみにシアトルのインディーレーベルbarsuk recordsからは14枚目。
 いろんなartistの1stを聞くのは結構面白い。とても実験的だし、とても広い視野で物事を見てるし、今できることを最大限にしようとする、余裕のなさのような崖っぷち感みたいなエネルギーに溢れてて、スリリング。
 この作品もそんな感じでとても荒削りだけど、いろんな面白い試みがなされてて聞いてて楽しい。まぁいい曲は少ないけどw。まとまりもないしw。
 keyがはいってる曲がイイ感じ。重い曲はやだな。お気にはm-5,6,9,10。


 
john vanderslice / time travel is lonely

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artist:john vanderslice  title:time travel is lonely  label:barsuk records
 激シブ声の孤高のシンガソングライタ、j.v.の2nd album。barsukからは2枚目ですね。
 でもって、前作にあったようなアタフタさが全然なくなって、今回はなんていうか作り込んだ感じがスゴイします。音質も全然イイし。playerが全員変更になっているのも関係するのかな?
 荒々しさがなくなったのは成長した証なんでしょうがあんまドキドキしないっすね。でも自分ってモノをつかみかけてる感じがするので次回が期待です。もちろんイイ曲も多いですが。
 ジャケはすげえイイな。お気にはm-2,8,9,11,13。


 
john vanderslice / life and death of an american fourtracker

johnvanderslice-thelifeanddeathofanamericanfourtracker
artist:JOHN VANDERSLICE  title:LIFE AND DEATH OF AN AMERICAN FOURTRACKER  label:barsuk records
 かなりの素敵なシャガレ声で極上の歌を歌い上げるシンガーソングライターj.v.の3rd album。barsukからは24枚目で、くるり主催のnoise m recordsからは2枚目のリリース。
 美しいですよね。美しいメロディが脊椎として先ずあって、ギタ、ベス、ドラムの基本的な音が肉を作り出し、細かい電子音やらノイズが神経を散りばめ、ピアノの音によって全体が包まれて…。非常に理想的な音楽の形。
 楽曲では♪が楽しんでいるのと対照的に詩ではとても言葉が嘆いている。悲しい嗚咽を漏らしてて。伝わるだろうとは期待してないながらも、つらいメッセージが発せられてます。鬱な感じ、イイなぁ。
 dcfcとはレーベルメイトだからbenが一曲参加しているね。お気にはm-1,2,3,5,6。


 
john vanderslice / cellar door

johnvanderslice-cellardoor
artist:john vanderslice  title:cellar door  label:barsuk records
 サンフランシスコの孤高のシンガソングライタj.v.の4枚目のアルバム。barsukからは33枚目。
 今までの荒々しい台風みたいな感じに比べたら、いろんな表情を持つ海のような感じに収まったようで、とても美しい音楽です。綺麗な流れと、ひしゃげたうねりが混在する中を航海します。行き先はきっと幸せが待ってないでしょう。
 それでもイイやねと酔っ払いが語るように、ボク等が進む先には常に恐怖がつきまとい、太陽が漠然と見たくもないものを見せてきて、僕らの好きな様には決してならない。絶望を歌う様が似合うような音楽。美しいメロディとの対象がとても美しいです。
 お気にはm-3,5,9,11。


 
john vanderslice / pixel revolt

johnvanderslice-pixelrevolt
artist:john vanderslice  title:pixel revolt  label:barsuk records
 サンフランシスコの耽美シンガソングライタ、j.v.の5th album。barsukからは44枚目の作品。
 うん、美しい。今までは歪んだ音とかで汚しを入れて遊んでいたけど、今回は全く綺麗な音にこだわってる感じがする。その分落ち着いてしまったけど、やっぱりこの人の曲作りセンスがさえてる作品です。
 ちなみにj.v.の作品の多くは、自らが経営する「tiny telephone」ていうスタジオで録られてるそうです。だからインディシーンのバンドとかの交流も盛んだとか。羨ましいね。
 エレクトロニカにベクトルが向いた曲が増えました。お気にはm-2,5,6,8,12。


 
julian fane / special forces

julianfane-specialforces
artist:julian fane  title:special forces  label:planet mu
 canadaはバンクーバー出身のjulian faneの2004年発デビューアルバム。レーベルはplanet muから。
 元NASDAQのデイ・トレーダーとして働いていた経歴を持ちつつ、様々な音楽的経験を経てソロで活動しているだけあり、今作は完全に独りで作り上げられたもの。全体的には生楽器よりも打ち込みによるハーモニーとリズムがメインで、ジャケット通りの様なカナダの雪に埋もれた林道を象徴するような非常に冷ややかなサウンド。
 北国出身が音楽性に関係するのか、北欧系やアイスランド系バンドの放つ、冷たいけど情熱的なemoさや、静謐さ、dreamy pop色が強いです。sigur rosやmum、bjork、m83、dntel、the radio dept.などpost rock / indie pop / electronica方面を気に入っていたり、聴くヒトにはとてもお勧めです。
 ちなみに女の子とlynx and ramというユニットもやっています。