review

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0,あ,,,,,,,,ら,わ

L

labrador / goodbye susanne

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artist:labrador  title:goodbye susanne  label:Rosemary records
 デンマークは首都コペンハーゲン出身の六人組バンド、labradorの1st albumにして、apple crumble recordの松本淑子さん主催のRosemary recordsのリリース一枚目。
 音は60〜70年代のソフトロック、ボサノヴァ、フレンチのエッセンスをふわふわしたリズムに乗せた、いかにもヨーロッパって感じ。ロックみたいに主張しない落ち着いたギターアルペジオに軽やかなトランペット、華やかな女性コーラスが素敵です。
 歌詞は、もうこれでもか!ていうぐらい恋愛のことばかり歌っています。あぁもうドキドキするくらい。歌詞読んでると恥ずかしくなってくるなぁ。
 ただ、ソングライティングや声の出し方がいまひとつって感じもする。ジャケが綺麗だから買ってしまったが。お気にはm-3,6,9,10,13。特に4曲目のリミックスはダサくていいね。


 
LALI PUNA / FAKING THE BOOKS

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artist:LALIPUNA  title:FAKING THE BOOKS   label:morr music
 ベルリンの大御所エレクトロニカ/ポップレーベルmorr musicの44枚目、LaliPunaの3rd album。
 エレクトロニカ、と言っても三男一女のバンド形式で、音のほうはだいぶインディーポップ/ポストロックよりな感じで、釜山出身Voヴァレリーのキュートでやる気があるのだか判らない、優しくて気持ちが包まれるようなウィスパーボイスと、生バンドっぽい音と切なげエレクトロニカトラック、綺麗な電子音が相まって大変よろしい雰囲気。
 もう、とにかく曲と音の放つ雰囲気が、蝋燭をつけた静かな夜のイメージのような、深い神秘的な森の中のような、優しくて切なくて暖かくて、胸いっぱい、つらい時にこれを聞いてしまうと、いろんなこと思い出してないてしまうよ。
 彼らのページも本みたいな感じで、ジャケみたいにオシャレで格好良く、ここでこの人たちの佇まいもチェックできるし、今ならLINKのとこのmorr musicのページでm-3のPVも見れます。あのthom yorkもこのバンドのことが好きだとか…。
 歌モノpopからミニマルなインストまで、全曲が優しいです。お気に入りはm-1,3,4,8,9,11。


 
landing / passages through

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artist:landing  title:passages through  label:k records
 98年結成、コネチカット州はミドルタウンを拠点とするlandingの4th album。リリースは老舗kから。
 音は大きな括りではpost rockですが、実験的slow coreであり音響軽なところもある感じで、とても深くて切ない感情に満ちいています。作品全編を通して聴けるのは、夜空に瞬く星のような、キラキラしたディレイのかかったギターアルペジオのアンサンブルと、その下を小川のように流れる穏やかな男女混声vocalで、これがまた叙情的。
 シーンとしては、shoegazerから派生したalternative rockのなかでもノイズから離れたところにいて、有名どころだったらsigur rosやmumみたいなアイルランド系、art of fightingやseefeel、album leafらへんと関連付くかもしれない。逆にこの作品を気に入ったら、pacific uvやlaura、helios辺りを聞いてみたらイイんじゃないかと思います。
 なんというか、何もしたくなくなる音楽です(イイ意味で)。


 
LANGUIS / THE FOUR WALLS

languis-thefourwalls
artist:LANGUIS  title:THE FOUR WALLS  label:plug research
 アルゼンチン出身のcohenとchloca2人組みによる5th album。plug researchからは47枚目のリリース。
 無機質で機械油っぽいジャケで、怖い音楽かと思いきや、深いリヴァーヴの温かい音楽。マイブラ的な甘メロpopもあるかと思えば、n.o.みたいなゾクゾクビートの曲もあるし、radio deptみたいなふわふわ浮遊popまで、多彩な音楽性に完敗。
 エレクトロニカにシューゲイザーを融合させた感じにどこか異国情緒を混ぜ合わせたような…これがアルゼンチンのエッセンスなのかしらと思わせる不思議なドロウン感。
 9曲目にはdntelのjimmy tamborelloもアコーディオンで参加。nobodyも4、10曲目で参加。お気に入りはm-1,3,5,6,10。


 
laura / mapping your dreams

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artist:laura  title:mapping your dreams  label:alone again. records
 メルボルン発5人組みpost rock band、lauraの1st album。メルボルンのalone again. recordsより1枚目。
 人間の意識における動と静を意識した、特にダークな部分の感情を駆り立てる雰囲気を持つ、2004年発の記念すべきデビュー・アルバムで、アートワークから楽曲、曲構成まで、デザインが統一されていています。post-rock/shoegazer/noiseで尚且つカオスな音は、轟音post-rock bandの類と聞き比べても遜色無い、凡そデビュー・アルバムとは思えない完成度です。
 このアルバムは地元のラジオ局である3rrrFMの週間チャートにて初登場4位を記録しており、"The Ghost"という3rrrFMのプレゼンターから"'black cab'以来の最高のアルバム"と評されいます。またゲスト参加しているcarolyn gannellはこのアルバムを機会に以後メンバーとして参加し、プロデューサーとして関わっている安齋直宗氏とは今も活動を共にしています。
 7曲目のタイトルが"hikikomori"というのがオツ。


 
laura / radio swan is down

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artist:laura  title:radio swan is down  label:happy prince
 結成2001年のオーストラリアはメルボルン発6人組みband、lauraの2nd album。happy princeからはリリース2枚目。
 轟音shoegazer post rock emo hard coreあたりの激しくも耽美主義的で、ある種の凡そ楽観主義者が持ち得ないような感情の塊が具現化された、あるいはそういった感情を煽り立てる1枚です。ある漫画家が「人間の表情はそんなに単純じゃないんだよ」と言ったように、ジャケットの写真の表情は印象的且つ内包的で、音楽とart workに込められた感情はとても深く重いです。
 今作はinstrumentalな曲で構成されており、9曲目において歌のような声が聞こえるけど、曲を構成する楽器の一部として位置づけられているようで、人力の楽器の音が強いです。特に顕著なのが3人のギタリストによるギター・レイヤーで、全てを包み込むような優しいアルペジオ奏でたり、時に攻撃的なノイズを放ったりもします。そこに神々しいチェロの音が舞い降りてきます。
 ボーナストラックはデビュー・シングルの曲ですが、albumの雰囲気を壊さないし、かなりの名曲です。


 
lcd soundsystem / lcd soundsystem

lcdsoundsystem-lcdsoundsystem
artist:lcd soundsystem  title:lcd soundsystem  label:DFA/EMI
 DFAのbrainであるJames Murphyによるソロプロジェクトで、1st album。リリースはDFA/EMI。
 2002〜3年辺りからめきめき頭角を現してきたdisco punkのムーブメントの最中のproduce team DFAによる傑作の登場です。disco punkといってもny punkやnew wave、funk、electroらへんのエッセンスも勿論盛り込まれていて、このチープなのにgroovyなリズムセクションにはのらずにはいられないですね。
 やはり一番耳に印象的なのはdr.とba.でして、シンプルでループ多用なんですがそれが中毒的に作用して、高揚感を煽るのです。でjames氏のテンションヌ高すぎな歌がかなりイニシアティブでもって全体を引っ張り盛り上げていきます。感じられるのは汗とかツバとか体臭とか肉とかで、とにかく嫌なこと忘れてノリノリで行こうぜ的なアレですね。
 disc1このリリースのための曲で、disc2は過去に12inchで出された曲たち。内容盛りだくさんです。


 
lcd soundsystem / sound of silver

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artist:LCD soundsystem  title:sound of silver  label:DFA
 DFAの代表であるJames Murphyによるprojectで、今回は2nd。リリースはもちろんDFA/emiから。
 音はもちろんnew wave post/disco punkで、テンション高くまくし立てるjamesを差し引いても、全体的にノリノリでフロアに打って付けのダンスミュージックです。汗臭さ、ツバとか飛びまくり、ヒゲとかとにかく体から分泌されるあらゆる体液が飛び散りそうな、えげつない感じ。
 タイトにハイハットやバス・スネアを鳴らすdr.と、地面を這い回る爬虫類のように不穏になるベースが作り出すグローブは、日常の風景をダンスフロアに変えてしまいます。James Murphyの煽るようなマイクパフォーマンスは、脳幹に思いっきりガーンと来てもう腰を振らずにはいられないのです。
 とはいえtr.8ではelectro techno、tr.9ではoldies sweetなんかもやっていたりしてやはり匠な感じ。


 
the legends / up against the legends

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artsit:the legends  title:up against the legends  label:labrador
 club8のメンバーでありlabradorのレーベルオーナーでもあるjohan氏のバンド、the legendsの1st albumにしてlabradorリリース44枚目。
 スウィーデンで良質なpop bandの作品をリリースし続けているlabradorから、大物参上!という感じです。レーベルオーナーのjohan氏がメンバーを集めて2003年に結成したバンドで、メンバーはなんと総勢8人。のワリには音は薄いか…?
 といっても彼らのベースとなっている音は80年代のサイケ・ギタpopで、タンバリンが鳴り、ハンドクラップが叩かれ、爽やかなギターの音色とともに、男女混声コーラスが花を添えるという、懐かしいサウンド。それに90年代のshoegazerテイストが加えられていて、とても素敵。
 labradorのロゴはかわいいなぁ。お気に入りはm-1,5,9,10,12。



the legends / public radio

thelegends-publicradio
artist:the legends  title:public radio  label:luna music
 swedenはlabradorのレーベルオーナーであり、acid house kingsやclub8のメンバーでもあるjohan angergard氏によるthe legendsの2nd album。リリースはluna musicから88枚目。
 前作のフレッシュなguitar pop風味は残されつつ、peter hookな高音ベースがとても印象的なnew wave / indie rockでgerman techno popも兼ね備えた音。techno pop方面のサウンド重視ながらも、メロディに関してはおなじみの60's indie popの爽やかで且つキラキラした雰囲気。コーラスワークも健在で、曲によってはアナログ全開なナンバーもあったりして、かなり自由な作風。
 artworkはシンプル且つ真っ白で、techno色のより強い3rdのartworkへの繋がり(というか真っ白なランニングシャツと短パン)も連想させてくれます。luna musicリリース盤ではボーナスcd付きの2枚組みで、本作品を本作品以上にダサ格好良く仕上げたremixと未収録曲が計8曲入りでお得です。こんなにもシンセベースやシンセリズムが60'sメロディと合うとは。
 マンチェのクラブシーン直系。


 
the legends / facts and figures

thelegends-factsandfigures
artist:the legends  title:facts and figures  label:labrador
 labradorのオーナー兼club 8とacid house kingsのメンバー、johan angergard氏によるプロジェクトthe legendsの3rd album。labradorからは93枚目のリリース。
 1st以降の一連のリリースの結果としては至極当然の、究極エレポップサウンズ炸裂です。写真も真っ白なランニングにやたらスポーティな短パンで、quick履きながら横ワケという感じでかなりnew waveなのです。しかもちょっと汗ばんでいるジャケットが恥ずかしくて堪らない。
 80年代なシンセとボコーダーと打ち込みリズムがかなりnew order、pet shop boys状態で、それでいて1stの頃のような60年代indie pop/garage rockを思わせるメロディーも勿論健在です。このhot & coolなエレクトロサウンドはkraftwerk、とか日本だったらymo的な小宇宙の煌きを内包したdisco musicです。
 特にm-1、3、7、8なんかはミラーボールが頭の中でぐるぐる回ります。


 
Lily Chou-Chou / 呼吸

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artist:Lily Chou-Chou  title:呼吸  label:UNLIMITED RECORDS
 岩井俊二監督の映画「リリイ・シュシュのすべて」という映画からの企画盤。設定ではLilyの3rd albumってことになっているけど、実際でてるアルバムこの作品だけです。
 映画で語られる「エーテル」みたいなモノが云々っていう話は抜きにして、単純にイイ音楽です。シンプルな音楽だけど音を聴いて感じるものはなかなか大きい。映画の中みたいにあんなにカリスマ扱いされるような音楽ではないと思うけどw。もっとマニアック向き。
 何といってもvocalをやっているsalyuさんの声がイイね。米国歌姫みたいなキンキンした声が苦手なボクにはたまらない。produceはミスチルで有名な小林氏だけど、音は完璧に別物です。ていうかこういう作品の方が彼の個性は現れてるね。
 salyuさん名義の作品も気なるこの頃。お気に入りはm-1,2,5,6,9です。


 
lily of the valley / my secret garden


artist:lily of the valley  title:my secret garden  label:happy prince
 秋田出身であり、仙台を中心に活動するシューゲイザー・デュオ、lily of the valleyのデビューアルバム。リリースはhappy princeから11枚目。
 cruyff in the bedroomのハタユウスケ氏が監修したシューゲイザーコンピである、"Total Feedback"に参加しただけあって、シューゲイザーらしい浮遊感のあるノイズと、何層にも重なって美しいハーモニーを奏でるコーラスはとても魅力的で、つい聞き入ってしまいます。シューゲイザーといっても、打ち込みのリズムやふんわりとしたシンセを用いているので、electronicaとしてのアプローチも強く、supercarやmorr musicのアーティストが影響を受けた音楽として挙げられるのも、納得。
 "my secret garden"というタイトルが冠せられたこのアルバムの歌詞の中には、Vo.のnozomiの淡くて切ない想いが散りばめられている様で、様々な色に彩られた恋心がメタファーされており、楽曲の雰囲気とも相まって深く儚い気持ちになります。ジャケットデザインも、ボタンや毛糸・布で作られた花の装飾が可愛らしく、やや大きめの紙ジャケットということもあって、まるで女の子雑貨屋さんに売っている手帳のようです。
 ちなみにlily of the valleyは「すずらん」の意で、花言葉は「幸福が帰る」「幸福の再来」「意識しない美しさ」「純粋」。


 
little brazil / you and me

littlebrazil-youandme
artist:little brazil  title:you and me  label:mt. fuji records
 2002年にUSのネブラスカ州で結成された、死ぬほどエモい4ピースバンド。その1st album。リリースはシアトルのmt. fuji recordsから。
 とても不器用な心の持ち主は楽器を手にして歌ってしまった。優しい旋律に張り裂けそうな気持ちを乗せて、あぁそれがこんなに心を打つなんて。。。手法としても不器用で、ぶっきらぼうな演奏に足取り不確かなリズム。ちょっとハラハラしちゃうけど、メロディーがどこまでも切ないです。
 現メンバーはoliver morgan(アルバム収録時はcorey broman)、greg edds(アルバム収録時はAustin Britton)、landon hedges、danny maxwellで、フロントマンのlandonはあのbright eyesのconor oberstとも交流があったみたい。ちなみにm-2,9にはやたらゲストミュージシャンが参加してます。
 情報が少なくて困ってますが気になるバンドです。お気にはm-1,2,5,8,9。


 
little brazil / tighten the noose

littlebrazil-thightenthenoose
artist:little brazil  title:tighten the noose  label:mt. fuji records
 ネブラスカ州発のemotional pop rock coreバンド、little brazilの2nd album。mt. fujiからは25枚目だと思います。
 これはかなり限界的に情熱的で衝動的でドキドキです。彼等の放つ感情が前作以上に勢いを放ち、それが演奏にもメロディにも体現されてているのです。相変わらず演奏は粗く、dr.はドタバタしていてgt.もやかましくてvo.もキレギレでして、でもそれでこそこの胸を打つ音楽が鳴らされているのです。
 プロデューサーであるa. j. mogis氏はThe FaintやCursive、Rilo Kileyを手がけた方でして、us indieの血脈をこうして受け継がせていくのだなと大袈裟にも思ってしまいました。なので上記のbandやmae、the shins、death cab for cutieらへんが好みな方にお勧めしたいです。
 「首吊り縄を絞める」というタイトルやジャケ画がちょっと怖い。怖すぎる。


 
the loose salute / tuned to love


artist:the loose salute  title:tuned to love  label:graveface records
 ロンドン発の5人組みの、元slowdiveのIan McCutcheonを中心としたindie pop bandの1st album。リリースはgraveface recordsから20枚目。
 リラックスした歌やフォーク楽器やハーモニカなどで彩られたcountry風味のindie / classic pop。楽器たち一つ一つが互いに主張しすぎず、絶妙なバランスでハーモニーを作り出しています。そこに優しくも儚げであるianやlisaの歌声が、水彩画のような淡く滲んだ色合いを生み出してとても美しいのです。
 集まったり離れたり、恋愛やら失恋やら、パーティをしたり、当ても無く彷徨ったりなんていう、若者らしい若者に捧げられた珠玉の1枚。男女のloveの枠に踏み止まらない、ボクラのloveにおける生活感漂う、切なくも楽しくて、叙情的で甘酸っぱい、幸福と不幸の結晶。
 これは忘れていた、あるいは通り過ぎてしまった青春です。


 
love dance / result


artist:love dance  title:result  label:happy prince
 ノルウェーはベルゲン出身のindie pop band、"love dance"の1st debut album。今は5人組みで、リリースはhappy princeから5枚目。
 北欧系indie pop全開で、キラキラしたギターサウンドに爽やかな男女混声コーラス、管楽器やハンドクラップがとても心地良い、ハッピーな気持ちでウキウキしてしまう瑞々しい1枚です。ドイツの老舗indie popレーベルであるMarsh Marigoldにてリリースされ、indie pop専門店やインターネット界隈で評判を呼び話題になっている"love dance"の日本国内ライセンスリリースです。
 ポストロックをメインテーマとしてきたhappy princeでは異例のリリースですが、音楽性の幅を広げる為の活動の一環のようで、またindie popと言ってもやはりslow coreやshoegazerらしさも垣間見えるかも。とりあえず80年代のヨーロッパ発indie pop、ネオアコやguitar pop好きにはマストです。sarah recordやlabrador、Elefant辺りが好みのヒトにも是非。
 ボーナストラックは7インチシングルの音源を収録。